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神戸新聞の紙上入門の企画で指導する横木ジョージ 平成14年8月11日(日)ステージの傍ら、マジックの振興のため各地でマジック教室の講師もしている横木ジョージが神戸新聞購読者からの応募で、その道の達人に講師をしてもらうという企画を受け、この日、中田敦さんを個人レッスンしました。その時のレッスンの様子などが掲載されました。 (紙面の内容が見られます)
The誌上入門〜マジック〜
読者 中田敦さん(芦屋市)指導 横木ジョージ(マジシャン)
メリハリが生むスピード感・演技の神髄に触れた(掲載日:2002/08/11)

 白いハトが突然、シルクハットから激しい羽音を立てて飛び出す。ボールが右手から左手へと瞬時に移動し、手の中で次々に増える。マジックは起きるはずのない現象を起こして、見ている人をあっと驚かせる。

 その魅力に取りつかれたのは、芦屋市の会社員、中田敦さん(50)。一年ほど前から習い始めた。ハンカチ、ボール、リングなどを使ったマジックが得意という。今では月に一回のペースで、公民館や老人ホームなどでボランティアをしている。

が、悩みは演技力。「独学でやってきたので、限界を感じているんです。もっと上手に、スピード感あふれる演技をしたい」
◇10のネタより姿勢
 今回の講師は、吉本興業所属の横木ジョージさん。剣刺しや、シルクハットを使った本格派のマジックのほかに、小泉純一郎首相似の風ぼうを生かした「国会マジックショー」で人気のマジシャンだ。横木さんは「中田さんのマジックを一度、見せてください」と快諾してくれた。
 中田さんが指導を仰いだのは、握りこぶしの中にハンカチを通すと、色が変化するカメレオンハンカチ。緑から赤、赤から黄色と、ハンカチの色は見事に変化していったのだが…。
 中田さんの演技の格好は、足が真横に開き、猫背の状態。「姿勢を見ていると、その人の技量、芸歴が、ひと目でわかるんです」と、中田さんの姿勢に横木さんのメスが入った。

基本は片足を半歩前に出し、足の並びは前後に一直線上に。さらに前足のかかとを上げ、後ろ足に重心をかける。横木さんが指示する姿勢を取るだけで、がっしりとした体格の中田さんがスマートに見え、堂々とした雰囲気になった。

 「ネタを覚えることはもちろん大切です。でも十のネタを覚えるよりも、この姿勢でやることの方が演技には大事です」

 ◇自然な動きで

 続いて、横木さんは直径五センチほどの白いボールを手のひらに乗せた。ボールが指の間を素早く縫う。まるでボールが生きているかのようだ。
 「テレビを見ながらでも毎日十分間ほど握って、ボールさばきの感触をつかんでください」と横木さん。要は“慣れ”だという。その手のひらにあるたった一つのボールが、瞬く間に二つになり、さらに三つ、四つと増えて五つに。
 中田さんも横木さんのようにボールを自在に動かそうと試みる。だが必死になればなるほど、表情は硬くなり、手のひらからボールが落ちる。動きもどこかぎこちない。
 「スピード感とあせりは違う。肝心なのは、メリハリです。どんなに素早くてもずっと同じペースなら、あせり。仕掛けは素早く、決めはゆっくり、などとペースを使い分けてください」

 また演技中の表情、動作の使い分けも重要なポイントだ。

 「いかにも必死という表情も時にはいい。でも、難しいタネや仕掛けがあるなと観客が感じると、驚きが半減するかも。難しさを感じさせない、ごく自然な動きで演技をするのも必要です」
 指導を終えた中田さんは感激しきり。「いままで気付かなかったことばかり。マジックの演技の神髄に触れた気がします」と、目からウロコが落ちたようだ。

(記事、写真・岡崎丈和)

ガイド横木さんは、大阪、京都を中心に、カルチャーセンターなどで講座を開いている。京都では個人指導も。